2016年10月19日水曜日

【そうだったのか!TPP-Q9】農産物は例外があるから守られたのでは?

Q9.農産物は例外があるから守られたのでは?

A9.手をつけていない品目がないことを政府も認めました


 守られたものなど一つもありません。TPPでは、これまでのFTAと異なり、関税の撤廃・削減をしない「除外」や「再協議」の規定が存在せず、すべての農産物が関税撤廃の対象となります。


 日本の農産物のうち高関税のものは、重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)などごく一部にすぎません。これらの重要農産物は、地域や国土の保全、国民生活に大きな影響を与えるため、TPPに関する国会決議は、関税の撤廃・削減をしないことを求めていたのです。しかし、政府はこの決議に反し、重要5品目の29%(170品目)で関税撤廃に合意しました。野党が「無傷のものはいくつあるか」と追及すると、政府は、税率を維持したとするものも含め、すべての品目に手をつけたことも認めました。重要5品目以外では、じつに98%の品目で撤廃されます。


 政府が「例外」とする、即時の撤廃を免れたものには、さまざまな悪条件を押し付けられました。牛・豚肉の関税は大幅に引き下げられ、輸入肉との価格差を考慮すれば実質ゼロで壊滅的な影響を受けます。米、麦、乳製品、砂糖については輸入枠が新設されます。日本は現在、水田面積の4割で減反しながら、WTOの下で年間77万トンの米を輸入していますが、TPPで輸入枠がさらに8万トン近く増えます。輸入が急増した際に関税を一時的に引き上げるセーフガードも発動が著しく難しく、すべて期限付きです。

 さらにとどめを刺すのが、日本だけが農産物輸出国5か国と約束した、発効7年後の見直し協議です。5か国の平均関税撤廃率は99.8%。日本がさらに厳しい譲歩を強いられるのは必至です。(岡崎衆史)

Attention! 第2章 内国民待遇及び物品の市場アクセス
●第2.4条2項 各締約国は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、附属書2-D(関税に係る約束)の自国の表に従って、漸進的に関税を撤廃する。
●附属書2-D(日本国の関税率表:一般的注釈)9(a) オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド又はアメリカ合衆国の要請に基づき、(中略)原産品の待遇についての約束(この表における関税、関税割当及びセーフガードの適用に関するもの)について検討するため、(中略)7年を経過する日以後に協議する。

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